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News Letter 2016 February ~Vol.112~

~ Wow! It is as cold as usual winter.~

急に寒くなりました。暖冬だといわれて本当に暖かい冬に半ば慣らされてからのこの寒さ。ひとしおこたえます。さて、上記のタイトルの英文。as~asを使った比較表現ですが、現2年生の文法で習う「~は~と同じくらい~だ」という表現です。この文章、っあ、昔やったことあるなあと思われる方いらっしゃいますか。私、苦手表現でした。でも、この表現、今キッズ5クラスの子供達、理解して使っています。正確には、使っているというとやや大げさですが、表現方法(文の組み立て方)を理解してこの形態の文章を日本語から英語に組み立てることができます。”It is cold.”という文が基本で、この部分を伝えればいい。その基本文に、比較するものを後においてasとasで挟めばいいんですね。英語は常にこの発想。言いたい事を主語・動詞の順で組み立てる。その延長線上にそれを補う言葉や説明する言葉をある語順や法則でつないで長い表現ができるようになってゆきます。日本語と英語は語順がまったく違います。また数の概念(可算・不可算名詞)や冠詞(aやtheなど)、代名詞などがあります。日本語をそのまま置き換えては話せない、全く異なる言語なので、早期に「英語脳」を鍛えることは本当に大切に思います。

何が言いたいのかといいますと・・・この比較の表現、今ちょうど中学2年生の単元でも扱っているのです。でも中学ではこの表現法を「比較」の単元でいくつかの例文と共に形だけをパターンとして覚えておしまいなので、例えば形容詞が変わってしまったり、少しの文章表現が変わってしまうとどこにas-asを挟ませればいいんだ?と混乱してしまうケースが多いのです。ようするに自分で表現をしようと考える前に、少ないパターンの中に後付の単語を埋め込もうとする作業をする時間しか与えられていないので、形としては学んでも表現力としては身につかないで終わってしまうことの方が多いのですね。でも英語脳があれば、何を表現したいのか、その表現の根本のもの、ここでは、繰り返しになりますが、”It is cold.”の文章がつくれれば、あとはこの型に決まった表現方法を埋め込むことが容易にできるようになるのです。キッズ5のクラスではやっとこのレベルになりました。少ない時間でも長い時間をかけて少しずつ、英語は蓄積されてきています。これらの英語でもっと表現したい!と子供たちが自発的に思った時、言葉はもっと出てくるようになるはず。やはり、言葉を学ぶ時に一番大切なものは「発信したい」と思う気持ちが一番大切なんだと思います。

前置きが長くなりました。本題です。先日、シンポジウムに参加してきました。文部科学省の国立教育政策研究所主催による平成27年度教育改革国際シンポジウムというものでした。上智大学言語教育研究センター所長で吉田研作先生という大好きな先生がおられます。その先生の基調講演から始まり、台湾・タイ・フィンランドでの英語教育の現状、岐阜県での取り組みとその成果における発表のあと、パネルディスカッションがあり、とても中身の濃い4時間となりました。この講演で吉田先生は「これからのグローバル人材育成と小学校における英語教育」についてお話されました。現在の日本の初等英語教育の現状とこれからの展望をデータとともに添えてとても分かり易く、興味深く話されました。このシンポジウムで特に印象に残ったこと、感想を簡単ですがニュースレターで紹介したいと思います。まず、一番気になったのは、前から言われているように日本人の英語力-特に、「話す」(Speaking)と「書く」(Writing)力があいかわらず極端に低いということです。特に話す力においては未だにアジア30数ヶ国の中でもなんと最下位のレベルにあります。(参照>iBT TOEFL(2014))英検でいうと高校卒業レベルで一般に準2級程度とされていますが実際このレベルに達している高校生は30%にも満たないという現状です。)これは大学入試でこの2つ(話す・書く)が実施されていない事が大きな要因の一つとされています。今後2020年に向けてセンター試験でこの2技能を追加してゆく方向へと動いているようです。同時に海外留学生の数がどんどん減っていること、また「留学したくない」と答える学生(高校生)が50%以上おり、諸外国と比較してもかなり消極的であることがわかっています。(参照-したくないと答える学生は韓国で20%未満・アメリカでも50%未満)その理由についてはやはり「自信(英語力?)がない」ということが最も多い答えです。グローバル化といわれている中とても気になる結果です。また調査によると英語の必然性・重要性については殆どの子供たちが「必要」と答えているのに対し、それを実際将来仕事に生かしてゆきたいかという質問に対しては殆どが「いいえ」と答えています。これはすなわち自分の会話力に自信がないという英語に対するネガティブ発想が背景にあることを意味しています。

ここです。今回のこのシンポの1つの論点であった”Which should we aim for : Native English Education or Plurilingual Education?”-私たちが英語教育で目指すべきものはネイティブのような流暢な英語なのか、複合語としての英語を使える力を育成するべきなのか-ということを考えさせられた点です。もちろん発音も文法表現も完璧に越したことはないのですがそれだけに捕らわれてしまうと本来自由に発信したいという機会を逃させてしまうのではないかしらと。自分の発音の悪さを気にして話さないことや、間違いを気にして話せない・・そんな日本人の消極性の根本はどこにあるのでしょうかね。私も少し反省しなければいけない部分も否めないのですが。今回パネリストとして諸外国の先生方が母国語でない英語で講演されました。それぞれ国特有のアクセントやイントネーションの違いはありましたが第二言語を使って発表、意見交換をされました。まさに”Plurilingual"としての言語がそこにありました。英語をなるべく正しい発音で、文法も間違えないで使える英語を英語教師としてはいつも心がけています。でも、そこだけを重点化してしまうと、得に初期の段階では話すことに制限を与えてしまうきっかけにもなりかねないと少なからずい思いました。英語を国際言語として日本は今後どう捉えて、どう指導していくのか・・・。「国際化に向けて」…と私が児童英語を勉強し始めた10数年以上も前からいわれていますが、その指針と指導法は未だ明らかに明示されておらず、英語教育の地盤はまだまだ踏み固まっていません。ああ、何年かかれば日本の英語教育は変わるんだというのが率直な思いですが、いろいろな著名な先生方が必至に活動してくれていることもまた確かなことです。日本はこの4年が勝負です。ここで変われなければ・・・私もネイティブではありませんし、発音も完璧ではありませんし、時には間違えることもありますし、表現の幅も限られています。でも第二言語としての英語を勉強し続けたいですし、母国語でないからこそ、こんな私が話す英語を子供たちのお手本にして欲しいと思います。そんな自信が今回もてたシンポジウムでした。そして子供たちには自分に自信をもって発信することの大切さやコミュニケーションをしたいと思う気持ち、人に対する興味を持って欲しいと思っています。1月ももうすぐ終わりです。春を迎える少し前に頭と心の充電をしながらこれからも少しでも前に進めるように努力しつづけたいと思います。

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